言葉が好きになる!“NEW赤ちゃん言葉”のすすめ

2021-03-14

“赤ちゃん言葉”は使っちゃダメ!?

ある日の出来事

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公園の砂場で、1歳9ヶ月の末っ子と遊んでいた時のこと。優しそうなパパさんが、赤ちゃんを抱っこ紐に入れて、お兄ちゃん(1歳半だそう)と一緒に遊びに来ていました。

男の子が砂場に来たので、パパさんと軽くあいさつをして、ちょこちょこ話しながら一緒に遊びました。男の子には4歳の上のお子さんがいて、ママとおうちにいるとのことでした。

しばらくすると、男の子が私の顔の前に、赤い型抜きの車を差し出しました。私は見せてくれたのが嬉しくて、目を合わせて努めてゆっくり「ブーブーねー」と言いました。男の子はリアクションはないものの、じっと私の顔を見ていました。

すると、その子のパパさんが後ろから、「車だな、赤い車」と、私のことばを言い換えるように男の子に伝えたのです。声色は穏やかでしたが、どこか強い意志のようなものが感じられました。

私は“もしかしたら”と思いました。一時期よく「赤ちゃん言葉はやめたほうがいい」という情報を見聞きしませんでしたか?賢い子に育てるには、物は正式名称で言い、語尾も「〇〇でしゅか」等ではなく、正しい言葉で言ったほうが、間違った日本語を覚えずに語彙力が高まるという情報。 

もしかしたらパパさんは、努めて“赤ちゃん言葉を使わない”ようにしているのかもしれないと思いました。

その後も近い距離で遊んでいたので、パパさん達の様子が目に入ったのですが、「靴下履いてこないから靴に砂が入って気持ち悪いんだぞ」「他の子を押しちゃだめだ」と、大きい子に話すような口調で話しかけていました。男の子はパパの言葉が聞こえていないかのように、遊び続けていました。

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言葉の発達は個人差が大きいものですし、2歳過ぎてから発語し始めるお子さんもいます。また、発達障害の可能性のあるお子さん(特にASD 自閉症スペクトラム障害)の場合は、脳機能の障害が背景にあるので、“育てている人の愛情や言葉かけが足りないから言葉が遅い”というのは、知識のない人の偏見です。(よくSNSでそんな心無い言葉をかけられたというママの悲痛な訴えを目にします。もっと発達障害への理解を広めたいです・・・。)

一場面の情報しかない中で勝手に考察するのは失礼だと思いつつ、きっとパパさんは、その子に“気持を伝えたい”“言葉を聞いてほしい”と思っているだろうなと感じたので、その一方的になっている声掛けを聞いていて、私はもどかしくなったのです。

保育士として関わってきた保護者の方にも、同じように“赤ちゃん言葉”を避けるようにお子さんと話すママやパパが沢山いました。忙しい日々を過ごす中ではなかなかゆっくり話しかける時間が取れないと思いますが、道具も準備もいらず、気づいたときにすぐできるので、この方法を使わないのはとてももったいないなと思うのです。

赤ちゃんと言葉を介したコミュニケーションは、子育てをもっと楽しくしてくれるはずたから。

実はメリットしかない!?“赤ちゃん言葉”は赤ちゃんとの共通言語

子どもは遊びながら色々なことを覚えていきます。言葉もそうなんです。赤ちゃんの言葉の発達を段階でみるとこうなります。

①生後すぐの頃の発声は反射的な全身運動。2~3ヶ月頃から「あー」「うー」「んー」等、“喃語”と呼ばれる意味のない反復音を出すようになります。

②声を出すことに興味を持ち、身近な大人の顔や口の動きをみて真似をし始めます。

③周りの人のリアクションが楽しくて、どんどん声をだしてみようとします。

④何度も言葉を聞くことによって、その言葉が何を指すのかが分かり、どんどん物と言葉が結びついていきます。

⑤自分の意志で言葉を選んで発音しよう、伝えようとし始めます。

口の周りや顔の筋肉が発達して、舌の動き巧みになるまでは、「あ行」とか「ま行」とか、簡単な発音しかできません。でも、「ごはん」は「まんま」、「くるま」は「ぶーぶ」、「いぬ」は「わんわん」等、意味のある言葉を赤ちゃん言葉に変換すれば、赤ちゃんでも理解できる言葉・言いやすい言葉になるんです。

これは発達に障害がある可能性のあるお子さんにも、大変効果的なコミュニケーション方法です。シンプルに分かりやすくゆっくり話すと、まだ意味が分からない赤ちゃんでも言葉に興味を持ちやすく、わらべうたを聞いているように気持ちを落ち着かせてくれます。

“赤ちゃん言葉”は、赤ちゃんに通じる共通言語!赤ちゃんと言葉でコミュニケーションがとれるって、すごいことだと思いませんか?そしてとても楽しそうじゃないですか!!

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ではでは、“赤ちゃん言葉”を使うとどんなメリットがあるのでしょうか。私が実際に自分の子育てで感じたメリットを3つご紹介します。

メリット1

赤ちゃんはママの声で安心、ママは赤ちゃんの反応でHappyに!

赤ちゃんの耳は、ママのお腹にいる妊娠24週には機能し始めます。生まれたての赤ちゃんは、すでに母親の声を聴き慣れていて、女性の抑揚のある声によく反応することが分かっています。

また、6ヶ月くらいまでの赤ちゃんの情緒は、まだ「快(気持ちいい)」「不快(気持ち悪い)」「興奮」くらいにしか分かれておらず、そこから段々と(6ヶ月くらいから)「怒り」や「恐れ」等の感情が生まれていきます。※Bridgesの情緒の分化より 

赤ちゃんが泣くときは「不快感」や「恐れ」を感じた時なので、そこでママの声と共に“不快の元”が取り除かれる(オムツ替えや授乳・ミルク・抱っこ等)経験を繰り返しているとどうなるでしょう。自然とお世話する時間が長いママの声は、“自分を守ってくれる人がそばにいる”という安心感を与えてくれるものになっていきます

もちろんそれはママだけに言えることではなく、一緒にお世話をするパートナーや、おじいちゃんおばあちゃん、赤ちゃんのきょうだいでも同じことです。沢山話しかけて沢山お世話した人に安心感を抱く、考えてみれば当然のことだなーと思います。

うちの場合も、1人目はかなりママっ子でしたが(私が赤ちゃんを旦那に渡すのが怖くて独占していたので)、4番目は私が上の子たちに時間をかけてパパに任せることが多かったので、すっかりパパで落ち着く赤ちゃんになっていました。仕事で離れる時間が長かったのですが、パパに人見知りもしませんでした。

よく、泣き止ませられないパパさんが「ほーらママがいいよなー」なんて心無いことを言いがちですが(私も言われました)、自分に自信がなかったり、過ごす時間が短いだけなので、「懐いてほしいなら頑張ってみようか」と励ましてあげましょう。パートナーが子育てに協力的になる方法については、また別の記事でご紹介しますね。

産後のママの体はボロボロ。心もホルモンバランスの乱れや睡眠不足からブルー。慣れないことやわからないことだらけで不安。その上赤ちゃんに泣かれると、ママはとても責められているような気持になりますよね。

でも、赤ちゃんと積極的に話そうとすることで、自分の気持ちを表現する時間が増えて、抑え込もうとしてしまいがちな自分の気持ちに気づいて、誰かに伝えようと思えるかもしれません。もし身近に悲しい気持ちを聞いてくれる人がいなければ、保健センター等相談ダイヤルを設けている所に連絡してくださいね。きっと力になってくれます。

また、赤ちゃんとコミュニケーションを取る方法が分かっていることだけでも安心感がありますし、何より「話しかけると見つめてくれる」「真似をして口を動かそうとする」「声を出して笑う」等の反応があると、たまらなく愛おしく感じると思います。

赤ちゃんの機嫌が良いときはママがゆっくりするチャンスです。あわよくば横になって眠って欲しいと思います。でも赤ちゃんが起きているとなかなか眠れないですよね。そんな時にはリラックスできる体制になって、自分の気持ちを可愛い“赤ちゃん言葉”に変換して、話しかけてみて欲しいと思います。

メリット2

赤ちゃんの言葉の成長がびっくりするほどよく分かる!成長を実感して共有して感動が倍に!

普段から赤ちゃんと積極的にコミュニケーションを取っていると、“その子が今まで言わなかった声”を出す瞬間にとても良く気づくことができます。

私はその度に、「〇〇っていったの?いえるようになったの?ママ初めて聞いたよ!しゅごいねー」と、他の人から見れば大げさなほど喜びを言葉にしていました。いいんです。自分の子の成長を誰よりも喜べるのは親の特権ですから!

「子育てに見返りを求めてはいけない」と聞くこともありますが、それは親が「あなたの為にやったことなんだから、こう感じるべきだ」と、価値観を押し付けて親が望む行動をさせようとすることへの注意です。

私は子育ての見返りが、「子どもの成長で感じられる喜び」だと思うようにしているので(こう感じられるようになるまでのお話はまた改めて…)、普段子ども達から存分に“子育ての見返り”をもらっています。余談になりましたが、こう感じられるようになると更に感動が倍になりますので紹介してみました。

また、赤ちゃんの成長に気づいたら、それをどんどんパートナーや子育てを手伝ってくれる近しい人に伝えてみてください。共感してもらうことで自分の喜びが増しますし、パートナーやその子と接する時間の少ない人も、子育ての楽しさや喜びを実感できる機会が増え、子育てにより主体的になってくれるはずです。

自分が感じた喜びを一緒に喜んでくれる人がいること。自分が大切にしている人を、同じように大切にしてくれる人がいること。これらはきっと疲れたママを癒してくれるはずです。

不安や辛さに気持ちがとらわれやすい赤ちゃんとの生活ですが、ぜひ赤ちゃんの反応や成長に気持ちをむける時間を作ってみてくださいね。

メリット3

赤ちゃんの言葉の獲得を促すことができ、してほしいことを言葉で教えてくれるようになるので、お互いにストレスが減る。

赤ちゃんの言葉の学習意欲は旺盛で、刺激があればあるほど習得するスピードが速いことが分かっています。きょうだいが多い赤ちゃんの言葉が早いのはこのせいです。

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発達障害の可能性があるお子さんはこの限りではありません。焦らないでというのは難しいと思いますが、ママやパパの心を大切にして休みながら、無理なく関わっていただきたいと思います。

以下は参考になればと載せましたが、お子さんに発達障害がある可能性を感じられている方には、心配になる内容かもしれません。もし不安なことがあれば、お住いの地域の相談室にご相談ください。抵抗を感じられるかもしれませんが、療育の専門家に一人一人に合ったサポートをしてもらうことができます。ぜひ、不安に寄り添ってくれる場所や人を見つけていただきたいと思います。

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私の4番目の子の話をすると、彼は四六時中言葉が飛び交う環境にいました。きょうだいの言葉の洪水を浴び、また母と1対1の時も、私が楽しいのと実験も兼ねてひたすら“赤ちゃん言葉”を使って話しかけていました。

すると彼は11か月くらいに「ぱぱ」や「まんま」という意味のある発語をし、1歳過ぎると「はい」「とう(そう)」という返事を覚えました。1歳半には「いや」という言葉が使えるようになったので、どうしたいのか“YES or NO”で答えられる質問にははっきりと答えていました。

1歳10ヶ月の今は、「ぱんもっといる」「パパあっちって(あっちいって)」「ぎゅー(牛乳)ちあう(ちがう)、みー(水)いい」「やっぱい(やっぱり)こっち いい」と、その状況に合わせて気持ちを言葉にするようになりました。上の子たちに比べてみても、言葉でのコミュニケーションがとても早く驚いています。環境によって習得するスピードが早くなるという一例としてご紹介しました。

お子さんが言葉を理解して、自分の要求も言葉にできるようになると何がいいのかというと、

  1. どうしてほしいのかが分かりやすいのでイライラすることが減る。
  2. 赤ちゃんも自分の気持ちが伝えやすく、困り事を受け止めてもらえたり、解決してもらえることで安心する。
  3. 自分がどうしたいか考えて伝える習慣ができ、その子の自立心の芽が育つ。

困ったことが出てきたときにその伝え方が分からないと、当然イライラしますよね。赤ちゃんもパニックになって大声で泣き叫んだり、全身を使って困っていることを必死に表現しようとします。

4番目の子の観察を通して、私が実感として分かったことは、言葉の獲得は、その“伝え方が分からない”というパニックを和らげ、気持ちを落ち着かせてくれる効果があるということです。

叶えてあげられるかは別としても、欲しいものを「欲しい」と伝えることができ、「〇〇ほしいんだね」と返事をしてもらえれば、自分の気持ちを分かってもらえたことが確認できます。それだけでその子はかなり安心できるのです。

実際どうやるの?すぐにできる“赤ちゃん言葉”実践法

では、“赤ちゃん言葉を使う”って具体的にどうすればいいのでしょうか。赤ちゃんに慣れていない頃は戸惑いが大きくて、楽しみ方が分からないと思う人も多いはず。ここでは、知ったらすぐに試したくなる赤ちゃんとの「言葉を使ったコミュニケーション」についてまとめてみたいと思います!

生まれたての赤ちゃんからできる“オウム返しと“実況”

赤ちゃんが声を出し始めたらすぐにできる遊びです。

オウム返しは本当に簡単!赤ちゃんが何でもいいので声を出したら、その声を真似て大人も声を出します。

実況は、「あーっていったの?」とか「うーだねー」とリアクションをします。ただそれだけなのですが、猛烈な勢いで脳が発達していく赤ちゃんにとってはすごく刺激になるのです。

これを習慣にしていると、赤ちゃんが初めて発した言葉にとても敏感に気づくことができます。忙しいときでも疲れている時でも「声だけなら出せる」時に簡単にできるので、ぜひやってみてくださいね。喃語が増えるととっても可愛いですし、会話している気分が楽しめるのでおすすめです。

オウム返しのメリットとしてはもう一つ!「言葉を真似する」というのがゲーム感覚になってくると、子どもも大人が発した言葉を真似しようとするようになります。すると、聞き慣れない言葉でも面白がって真似するようになり、新しい言葉を楽しく覚えていくようになりますよ。

赤ちゃんが大好きな“破裂音

なんでこんなに好きなのでしょうね。赤ちゃんは、舌を鳴らして出る「タッ」や、唇を閉じて吸いながら開いた時の「バッ」といった、「破裂音」が大好きです。めちゃくちゃ笑ってくれます。滑ることはほぼないほど(笑)よくフォトスタジオの方が、赤ちゃんの笑顔を引き出そうとやっていたりしますよね。保育園でも0歳児クラスでは赤ちゃんの機嫌を良くしたい時や遊びの一つとしてよく破裂音を出して遊びます。

新生児期過ぎて大体5~6ヶ月くらいで反応するようになってきます。私は心がすり減ると、癒されたくて無駄に破裂音を出して赤ちゃんに笑ってもらっていました。また、大人の口の動きは、赤ちゃんも模倣しようとよく観察するので、顔の前でいっぱい色々な音や声をだしてみてくださいね。

一緒に見たものをどんどん“赤ちゃん言葉に変換するゲーム

一緒に遊んでいる時でも、お散歩や移動をしている時でも、どんどん物の名前を“赤ちゃん言葉”で言ってみてください。

例えば、「ブーブーねー」「にゃんにゃんいたねー」「かえってまんましようねー」「これはばっちばっちだからばーつーよー」みたいに。

何でもいいので大人も言葉で伝える練習だと思って声に出してみてください。最初は普通に話すだけでも大丈夫!少しづつ「これは赤ちゃんが言いにくいかな?分かりにくいかな?」と考えて変換していくと、話しかけることが面白くなるはずです!

メリットとコミュケーション方法をお伝えしましたが、肝心なのは“大人が楽しむ”ことだと思います。赤ちゃんの成長は、1人1人のペースで進んでいきますし、成果を求めながらやると、期待した反応がなくて落ち込むことになりかねません。

「こうゆう方法もあるのね」という気持ちで、気持ちが向いたときに、やってみたいと思った事を試してみてくださいね!

もう難しく考えない!!赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しもう

多くの研究者が論文を発表しているように、“赤ちゃん言葉”は、むしろ推奨される子育て方法なのですが、どうしてそれがあまり子育て家庭に浸透していかないのでしょう。

きっと、今まで当然にしてきたことが、「実はこれはダメなことだった!?」と言われた時のインパクトが強いから、理由まで覚えているかは別にして、「赤ちゃん言葉は使っちゃダメ」というワードだけが印象に残り、無意識レベルで定着しまうんだと思います。私も「そうなの?」と思っていた時代がありました。

“赤ちゃん言葉”は、ずーーーっと昔から当然のように使われてきた、先人の知恵です。研究で裏付けされる前から、子育ての確かな手応えとともにみんなが楽しみながら使ってきた、赤ちゃんと仲良くなるコミュニケーション方法なんです。

メディアで子育ての不安を煽ったり、それまでの価値観を揺るがすような内容が増えると、子育ては難しいと感じたり、自分にはできていないと落ち込む人が増えてしまいます。

親自身が新しい時代に適応するだけでも大変な状況だからこそ、子育てに関しては特に、“簡単に楽しくできる方法”を教えてもらえる機会が、もっと増えるといいなと心から思います。

また、発達障害についてももっと社会全体の理解が深まり、偏見によって辛い思いをするママやパパが減ることを祈っています。

不安な方は、かかりつけの小児科や、定期健診等でぜひ保健師さんに相談してみてください。まだまだ障害をもつ保護者の方への支援体制は、自治体によって差が大きく、十分とは言えない場所もあると思います。ですが、障害の有無に関わらず、発達の不安を専門機関に相談することで、お子さんに合った支援方法が見つかり、お子さんの困り感や保護者の方の負担感が軽減できる可能性があります。

行動することで悲しみのトンネルに光が差すと思います。お子さんの発達の不安と向き合うのはとても勇気のいることですし、何かしらの特性があったとしたら、それを受容するには時間がかかるかもしれません。ですが、困ったことや悩んでいることを解決するヒントは、ご自身が行動することで見つかるはずです。私はその一歩を応援しています。

読んでいただきありがとうございました。

言葉を獲得してきた幼児に対する声掛けの方法については、また改めて!

皆さんの赤ちゃんとのコミュニケーションが、楽しいものになりますように!